雪の降る夜 フラノールの宿屋。 氷の神殿の情報を集めていたロイド達はとりあえずここで休んでいくことになった。 窓の外を見れば空から降ってくるのは白い雪・・・。 それを窓際で見ていたしいなはふと何かが目に入ったのか慌てて席を立った。 急に立ち上がったしいなを見つめながらコレットが心配そうな顔で尋ねる。 「しいな?どうしたの?」 「あ、いや・・なんでもないよ。ちょっと用を思い出してね。」 「あ、じゃあこれ巻いていくといいよ。外は寒いもん。」 ニッコリと微笑みながらコレットはしいなの首に赤いマフラーを巻きつけた。 ふわふわとしたそれはとっても暖かくて、しいなは微笑しながらコレットにお礼を言って部屋を出た。 なるべく音を立てないように宿屋の廊下を早足でかけていく。 さっき窓の外に見えた人影。一瞬自分の目を疑った。まさかあり得ないだろうと思いながらも 気になってしまう自分に悔しかった。 (まったく・・なんであたしが心配しなくちゃならないんだい・・・あんな奴のこと。) そう思いながらも足は着実と「あんな奴」の所に向っていた。 宿屋の入り口をカチャッと静かに開ける。 そうしてソッと外を覗くようにしいなは外を見回した。 グルッと見回したしいなの視線の先にはやっぱり見間違いではない「あんな奴」が一人雪の降ってくる 空を見上げていた。 それもいつもの格好で・・・。 「ゼロスッ!」 視界の先に立っている人物の名前を叫ぶ。 するとその声に反応した様にクルッと振り返る人影。その瞬間白い雪に真っ赤な髪がふわりと舞う。 「しいな?」 「何やってるんだいあんたは!そんな格好で外にいると風邪ひくよ!!」 しいながいることに少しばかり驚いたのかゼロスは一瞬目を見張った。 そんなゼロスを余所にしいなはズカズカとゼロスに近づくと、コレットが貸してくれたマフラーを ゼロスの首に巻きつけながら怒った。 首に巻かれた赤いマフラーと、目の前にいるしいなを交互に見つめながらゼロスは苦笑した。 そんなゼロスの表情に油断していたしいなは顔が熱くなるのがわかった。 「と、ところでこんな所で何やってるんだい?」 「あ?あぁ・・・雪、見てただけだぜ、俺様は。」 「・・・本当にかい?」 ゼロスの言葉を疑うようにしいなは聞き返した。 その言葉にゼロスが僅かに反応したことをしいなは確かに見た。 しいなは呆れたように溜息を吐き出しながら、ゼロスの横に立つと自分より背の高いゼロスを 見上げながら呟く。 「あんた雪が嫌いなんだろう?」 「何言って・・・」 「あたしは覚えてるんだよ。あんた前に雪は嫌いって言ったじゃないさ。」 しいなの言葉を否定しようとしたゼロスの言葉を遮ってしいなはさらに話を続けた。 そのしいなの言葉に今度こそゼロスは追い詰められた表情を浮かべながらガクンッと しいなの肩に頭をのせもたれかかった。 「・・・なんでそんな古い事覚えてるんだよ・・・」 「・・・覚えてちゃ悪いかい?」 「いや、ただかっこ悪いでしょーが・・・雪が嫌いなんて。」 ゼロスはしいなにもたれかかったままそうポツリと呟いた。 その言葉にしいなは苦笑しながらゼロスの背に手を回しながらポンポンと子供をあやす様に背を叩く。 「俺様子供じゃないぜ・・・?」 「いいじゃないさ別に。折角あたしが心配してやってんだ、少しは感謝しなよ?」 「・・・そーだな。」 しいなの言葉にクスクスと笑いながらゼロスは目を閉じた。 さっきは「なんで覚えてるんだよ」としか言えなかった。 けれど今は素直に思えることが1つある。 覚えてくれていて嬉しかった。 それは他の誰でもない・・・しいなだからそう思えるんだぜ・・・? 「しいな・・・」 「ん?なんだい?」 「・・・やっぱりお前胸でかいよな・・・。」 「〜〜〜〜〜こっのアホ神子―――――!!!!」 バチィィンッと派手な音が辺りに響きわたった。 さっきまでのムードもどこへ消えたのやら、しいなは怒りながらゼロスを置いて宿屋の方へと歩き出す。 そんなしいなの後ろ姿を見つめながら、ゼロスはふっと微笑しながら微かな声で呟いた。 「・・・ありがとな、心配してくれて・・・。」 その言葉は果たしてしいなの耳に届いたのかはわからない。 ゼロスはもう一度雪が降ってくる空を見上げながら微笑むと、先を歩くしいなの背中を追うように歩き出した。 ++あとがき++ ゼロしい1作目はフラノールでの出来事。にしても本当に意味の分からない小説です。 一体自分は何が言いたかったのでしょうか?みたいな文章になってしまいました〜(><) とりあえずゼロしいです。ゼロロイの次に好きなCPですね。だからあずさがそっちのが多いと思います。 でも楽しく書きました。というよりフラノール辺りは好きです。あずさ自身雪って好きなんで(/笑) では、この辺で。 2004.11.8 |