もう一度聴かせて 何度だって言ってやるよ。 愛してる、愛してる、愛してる・・・。 お前のためなら何度だって言える・・・。 だからお前のその声で俺様にも聴かせて・・・。 たった一言『愛してる』って。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 机に向ってリフィルから出された宿題をやっていたロイドは、ふとさっきから自分にまとわりつ く視線に気がついた。かれこれ数十分くらい視線を感じていたが気に止めないようにしていた。 ・・・が。 「・・・ゼロス。」 「はいはい?」 「俺に何か用でもあるのか?」 「いんや。特にないけど?」 ケロッそう言い放たれた言葉にロイドはハァッと溜息を吐き出しながら、机にうつ伏せた。 用があるわけでもない。 ならばどうしてそんなに自分を見ているのかが余計に気になった。 いっそ聞かなければよかったのかもしれないと、ロイドは自分の言葉に後悔を覚えた。 けれども一度気になってしまったことが出来ると他の事に集中出来るはずもなく・・・。 ロイドはチラッとゼロスの方を横目で見つめながら呟く。 「なぁ、ゼロス。俺の顔に何かついてる?」 「ロイドの顔に?何もついてないぜ?」 「・・・なら何でさっきから俺の方見てるんだ?」 その言葉に反応するように、ゼロスがニッコリと微笑みを浮かべる。 その表情にロイドは嫌な予感が頭の中を過ぎった。 ゼロスがこうやって微笑む時には絶対といっていいほど何かが起こる・・・。 「俺様さ、ちょこーとロイドくんに言って欲しい言葉があるんだけさ?」 「・・・言って欲しい言葉?」 ゼロスの言葉にほっと安堵の息を吐き出しながらも、ロイドは不思議そうに首を傾げた。 よくよく考えてみればゼロスがこうやってお願いしてくること事が珍しい。 そう考えると聞いてやるだけ聞いてやるかとロイドは思った。 「で?俺に何を言って欲しいんだ?」 「簡単、簡単。ただ一言『愛してる』って言ってくれるだけでいいからさ♪」 「――――!!!!」 満面の笑みを浮かべ何食わぬ顔でそう言い切ったゼロスに対し、ロイドはその言葉に 声も出せぬほど驚いた。 『愛してる』 それを言うだけでいいとゼロスは言ったが、ロイドにはかなりの難題だった。 確かにいつもゼロスは口にするけど、自分から言ったことなど一度もないかもしれない。 そう考えると余計に言うのが恥ずかしくなるのは当然で・・・。 「・・・ゼロス、あのさ言わなきゃ・・・」 「言えるよな?ロイドくんは俺様のこと好きだもんな〜?」 「あはは・・・」 自惚れている。 確かにゼロスの事は好きだけれども、普通それを自分で言う奴がいるか・・・。 いや、目の前にいるのだが・・・。 「それとも?俺様が先にお手本見せてやろうか?」 「へ・・・?」 「何が?」という前にふわりと後ろからゼロスに抱きつかれる。 赤い髪がサラサラと落ちてきて頬をかするのが微妙にくすぐったく感じた。 そのうち耳元に吐息を感じたと思った瞬間、いつものふざけた口調ではないトーンで呟かれる。 「愛してるぜ、ロイド。」 「〜〜〜〜〜〜!!!!」 ほ〜ら簡単。 いつも聴かせてる言葉なのに相変わらずの反応。 なかなか慣れない所がロイドくんらしい。 背を向けているロイドの表情はわからないが、耳まで真っ赤になっているのは後ろから抱きつ いているゼロスにだってわかった。そんなロイドの後ろ姿を見ていたゼロスはニッと微笑みな がらぎゅっとロイドを強く抱きしめる。 「ローイドくん?」 「な、何だよ・・・」 「何だよじゃないでしょ?俺様が言ったんだからロイドくんも聴かせてvv」 俺様が一番聴きたい言葉を・・・。 愛なんてさ言葉にしたって伝わらないのはわかってるんだぜ? だって信じられないだろ?たった一言『愛してる』なんて言われたって。 ・・・形に出来るなら話は別だけどな。 「〜〜〜〜アイシテル」 ポツリと呟かれる言葉。 相変わらずロイドの表情までは覗えないものの、きっとさっきより顔は赤いのだろう。 ロイドの呟いた言葉にしばらく時が止まったように静かだった。 しかしその沈黙を世ぶるようにしてゼロスがクツクツと笑い出した。 「ロイド・・・」 「ん?」 「もう一回言って。」 「・・・愛してる、ゼロス。」 『愛してる』 言葉にしたって伝わらない想い。 これくらい愛してるって形に表せればいいといつも思う。 けどさロイドくん。 好きな人から言われる『愛してる』っていう言葉って結構気持ちが伝わるもんな・・・。 自惚れだっていい。 だってさっきの一言でお前がどれくらい俺を『愛してる』のかが分かったような気がするんだ。 だからさ、もう一度その声で聴かせて? たった一言『愛してる』と・・・。 ++あとがき++ 前回がロイドくん視点のゼロロイだったから今回はゼロス視点〜と決めていたのになんだかごちゃまぜ? 本当文章力のない管理人です。・・・文章力欲しい。 とりあえず言いたいのはまぁ、「好きな人の言葉は偉大」・・じゃなくて「好きな人からの一言って嬉しい」 そんな感じです。もちろん傷つく事もありますけどね・・・。 2004.11.22 |