悪いのは自分自身。 「信じてる」と言われたのに結局信じきれなかった。 信じたかったのかもしれない・・・。 でも信じられなかったのは自分の弱さ。 悪いのは自分自身。 だからお前がそんな顔しなくていいんだよ・・・。 最後まで・・・ キンッと刃がぶつかり合う音。 これ以上嫌な音はないんじゃないかと思うくらい耳障り。 今まで剣を振るってきたのに、何故だか今初めてそう感じだ。 それは相手が元仲間だからかもしれない・・・。 「ゼロス・・なんで、何でお前と戦わなくちゃいけないんだよ!?」 今まで聞いたことのないロイドの悲痛な叫び。 どうして・・・?そんなこと俺にだってわかんねぇよ・・・。 本当は天使化なんてまっぴらなんだぜ?五感が研ぎ澄まされすぎて音や声が耳障りで。 「ゼロスッ!」 「・・・どうせ闘うなら全力でこいよ、ロイド。」 口元にうっすらと笑みを浮かべながら目の前のロイドにそう告げる。 今日のロイドは剣の鋭さがない・・・って当たり前か。 急に俺と戦うことになるなんて誰でも信じるロイドにはかなりの衝撃だったはずだしな・・・。 キンッとまた刃がぶつかり合う。 いい加減この音にももう飽き飽きなのよ、俺は。 さっきの言葉以降ロイドの剣はいつもの鋭さを戻っていた。 それでいい・・・。 後はその研ぎ澄まされた刃で俺を殺してくれよ・・・なぁ、ロイド? キンッと刃がぶつかる音にビクッと体が反応する。 だって剣を交えている相手がお前だから・・・。 なんでだよ? なんでお前と戦わなくちゃいけないんだよ・・・。 イヤだ。お前と戦いたくなんてない。 だって仲間なのに・・・なんでお前と闘うんだよ・・・。 コレットとは違う色の羽がゼロスの背にある。 ゼロスはいつもと変わらない微笑みを浮かべて俺に向ってくる。 どうしろっていうんだよ、俺に・・・。わかってるはずだろ、俺がお前と闘いたくないことくらい・・・。 剣の先がゼロスの体に刺さる。その刺さった部分からじわっと赤い血が滲みだす。 自分でつけたのに怖くなって、一瞬何も考えられなくなった。 グラッと大きくゼロスの体が揺れて俺の前に倒れる。それにハッと意識を取り戻す。 「ゼロスッ!」 「あ〜あ・・はでに・・やってくれ・・ちゃって・・・」 そうゼロスの名前を叫んだ俺の声は確かに震えていて・・・。 痛いはずなのに・・・それでもゼロスはいつもの微笑みを浮かべながら呟く。 ぎゅっとゼロスの手を両手で握り締めながら、俺たちより後ろにいた先生の方に振り返る。 「先生、早く回復!」 そう悲痛の声でリフィルに頼む。 けれどもリフィルは辛そうな表情を浮かべて首を横に振った。 「ロイ・・ド・・・」 ポタポタと目から涙が零れ落ちる。 それを拭うかのようにゼロスの手が俺の頬に触れる。 それでも涙は止まることをしらないようにポロポロと頬を伝って零れる。 こんな顔をさせたかったわけじゃない・・・。 お前が悪いんじゃないんだ・・・だから・・・。 「そんな・・顔・・するな・・・」 「ゼロ・・ス?」 「わるかった・・な」 何に対してかわからない。 今まで騙してきたこと? 裏切ったこと? それともこんな顔をさせたことに? 俺だってわからないんだ・・・ただ何となくこの言葉が口をついた。 最後の最後・・・血で染まった唇が微笑む。 ぎゅっと今まで握られていた手がズルッと力なく離れる。 うっすらと開いていた瞳が硬く閉じられて・・・。 「ゼロス?ゼロス、ゼロス・・・あああああぁぁぁ!!!」 それから二度と開くことはなかった・・・。 悪いのは自分自身。 お前の性格に甘えて、裏切って、傷つけた。 こんなこと今更言えたもんじゃないのはわかってるけどさ・・・ お前のことは嫌いじゃなかったんだぜ? 確かに最初はその甘さが嫌いで・・・でもいつの間にかその甘さに救われていた。 もう何もいえないけど・・・もう一度会えるとしたら言いたい。 ごめんな・・・ロイド。 ++あとがき++ はい、ごめんなさい。TOS1作目からゼロス死亡ルート小説。 私だって書きたくありませんでしたよ、ゼロス死ぬのはイヤですし・・・。ただ書いていたら 何故だかこっちにきてしまって・・・。はぁ・・どうしてなんでしょうかね? 実際ぶっちゃけちゃいますとあずさはまだこっち見たことないんです。だからゲーム内の台詞は かなりスルーしてると思いますが、それは優しい目で見てやってください。 さて妹のまりんも頑張っていることだし次こそはゼロロイの甘々でも書ければいいな・・・と。 むしろ書きたいな・・・とは思っているのですが、なんで死にネタばかり思いつくのでしょう。 誰かゼロロイでリクエストでもあればしてやってください・・・(/笑) 2004.11.7 |