あなたと出逢えて














「ねぇ、マリン殿。今、幸せかい?」

「え?」


急に聞かれた質問にマリンは首を傾げた。
「今、幸せ?」と聞かれたマリンは不思議そうな表情を浮かべシリウスを見つめる。
その瞳はまるで「幸せです」と訴えている様にも思える。


「私と一緒に来たことを後悔していないのかな・・と思ってね。」

「後悔ですか?してませんよ。」

「本当に?」


マリンの言葉を疑うように聞き返す。
するとマリンはふんわりと微笑みながらそれに答えを返す。


「本当です。私がここに来たのはシリウス様の傍にいたかったからですし、自分で決めたことです。
だから後悔なんてしてません。」


はっきりと言い切られた言葉にシリウスは思わず笑みが零れる。



あの日から・・・君をあの島から連れてきた日から不安で仕方なかった。
もしかして君は「後悔」しているんじゃないかと・・・。
だって時々寂しそうに故郷のある方を見つめているから。本当はあの島にいたかったんじゃないのか・・・ってね。


「マリン殿。」

「なんですか、シリウス様?」


キョトンとした表情を浮かべたマリンは真っ直ぐシリウスを見つめる。
緑色の澄んだ瞳と視線が重なるとシリウスはいつもの調子でパチンとウインクをしながら言った。


「愛してるよ。」

「ど、どうしたんですか、急に・・・///」

「あっはっはっ!何となく、伝えたかっただけだよ。」


シリウスの直球な告白にマリンは真っ赤になった顔を隠すように両手で頬を覆う。
そんなマリンの反応を楽しみながらシリウスはニッコリと微笑む。




手の届く所に君がいて、いつも私を見つめている。
これほどまでに幸せな日々が来るなんて思ってもいなかったよ。




そっとマリンの服の裾を引っ張るようにして自分の方に近づけると、マリンを抱きしめる。
唐突なシリウスの行動にマリンは驚いた様に目を丸くした。


「シ、シリウス様?」

「ねぇ、マリン殿。今、幸せかい?」


もう一度同じ質問をする。
けれどもさっきとは違う「幸せ」の意味。
それを察するようにマリンはきゅっとシリウスの背に、たどたどしくも腕を回しその質問に答える。


「幸せですよ。貴方に・・シリウス様に出逢えましたから。だから私は幸せです。」


たった一度の人生の中で・・・この世でたった一人、君に出逢えた。
思ってもいなかった、君が一緒にダリスに来てくれるとは・・・。
なかば強引に連れ去ったみたいで、多少の罪悪感もあったんだ。




けれど、今は幸せだよ。
だって君が傍にいる。これ以上幸せなことなんてない。





ただ隣に君がいて、いつも笑いかけてくれるて、愛していると言ってくれる・・・。
だから・・・。









「私も・・マリン殿に出逢えたから、幸せだよ。これ以上ないって位にね。」































++あとがき++

れなさんからのリクエストで「シリマリED後のラブラブ」です。

って全然ラブラブじゃないですよね!?むしろ最初の方は少しシリアス気味??
うわーれなさん、こんな作品になってしまってすみません(>△<)
なんだか、シリウス様がいつになく弱気になってしまって・・・ホントなんとお詫びを申せば
いいのかわからない作品になってしまいましたが、こんなのでよかったら貰ってやって下さい。



2004.11.27



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