もう一度・・・







あの時、貴方のことを捕まえていたら・・・今も貴方の傍にいられたのでしょうか?
いつも余裕そうで、少し寂しそうな笑い方をする・・・あの人の傍に・・・。


夕暮れの海岸沿い。
一面に花々が咲いているこの場所は抜け道を通ってこないとこられない場所。
そんな秘密の場所にマリンは1人佇んでいた。


「はぁ・・・」


ガックリと肩を落としながら盛大な溜息をつく。
ここに来ればまた会えるような気がしていた。一年前この場所からこの地を去ったあの人に・・・。


「そんな気がしていただけだったんでしょうか・・・」


貴方に会えると思っていたのは・・・。
現に一年もたったのにあの人は帰ってこない・・・。

シリウス=ウォーレンダリス。
ダリス国からの大使で、すごく変わっていて、この国が大好きだと言った人。

いつも自分に優しく接してくれていたのは、自分の復讐に使うための駒だったから。
自惚れかもしれないけれど、それでもほんの1%くらいは確かに自分を見ていてくれた人・・・。


「会いたいですよ・・・シリウス様・・・。」


マリンは下を俯いたままそうか細い声で呟いた。
この場所に立っているとあの日の事が昨日のように思える。

あの時もし捕まえていれば・・・一緒にいられたのかもしれない。
あの時、あの時と渦のように後悔は心の中で渦を巻く。

自分が復讐のための駒だと言われる前から何となく気がついていた。
でも駒だとわかっても急激に育ってしまった想いを止めるずべは知らない。


「もう・・・会えないんでしょうか?」


今だ自分の心の中をしめる貴方に・・・。
あの時彼が言った・・・「もう会うこともないだろうけどね」と。
その言葉通りもう会えないのかもしれない。そう思うと瞳から何かが伝った。


『マリン殿には笑顔が一番ですよ。』


そう言って微笑んだシリウスの顔が頭に浮かんで消えた。
マリンはゴシゴシと服の袖で涙を拭うと、ハァッと大きく息を吐き出した。

目の前に広がるのは赤く染まった夕日が海に帰っていく光景。
その光景を見つめながらマリンはふんわりと微笑しながら呟く。

この海の先にいるあの人に・・・。


「      」


その言葉だけが風の音にさらわれる。
そのまま遠く離れた貴方に届けばいいと願いながら、マリンは赤く染まる海の向こうを見つめた。


















++あとがき++

はい、姉のあずさです。なんだかな・・・1作目からこんなんですみません・・・。
たぶんあずさはマリン担当になりそうな予感です。なんでって真面目にマリンEDしか見てないんですよ。
アクアEDはアーク,リュート,シリウスくらいしか見ておりませんので書けないかなぁ・・・と。
★★★が発売されれば少しは違うと思うんですけどね〜(><)よくわかりません。
では、この辺で。


2004.11.8



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